Project Story
経営者に勇気を与える本当の意味で優しい仕事
担当するクライアントの社長は御年72歳
自分の両親よりもはるかに年上でした。
経営者としても、40年以上のキャリア。
『20代の若造が、そんな社長に物申している...。』
アポイントメントの度に、ピリッとした緊張感がありました。
あるアポイントメント。
「もうウチではいい人材は採用できない。今まで採用した人も全員やめた。募集してもいい奴が来ない。だからもう無理だ。」
社長は諦めた表情で話されました。
「確かに、採用で苦しまれていることはわかります。でも、このまま採用が出来なければどうなるのか?」
「潰すしかない。」
覇気のない言葉を出す社長。
でも、僕は何度も社長と将来の話をして諦めるべきではないと確信していました。
「社長、本当に良いのですか?僕は良いと思いません。社長ご自身はどうされたいと思っているのですか?」
社長は語気を強めおっしゃられました。
「若いやつに自分がやってきたことを継承し、会社としても存続させてほしい。」
「だったら、絶対に成功させるから、諦めちゃダメです。僕は諦めませんよ。」
本心を語っていただき、その想いに何としても応えたいと思いました。
しかし、未来を託す優秀な若手を採用することは、簡単ではありません。
『思い切り、啖呵を切ってしまった。。。』
自分の目の前に大きなミッションができたことを再認識しながら、オフィスへ戻りました。
僕は元々、騎手になることを夢見ていました。
中学校を卒業し、関東の全寮制の学校へ入学しました。
周りには反対されましたが、どうしても騎手になりたくて強行しました。
『このタイミングで行かなければ、騎手の道は閉ざされてしまう。』
挑戦せずに後悔することだけはしたくありませんでした。
入学当初は順調でした。
自分で言うのは恥ずかしいですが、技術・知識ともに
同期メンバーよりも良い成績を出していました。
唐突に夢は終わった。
僕が夢を叶える上で、大きな壁が出てきました。
それは「体重制限」。
騎手には規定体重が決まっていて、毎朝計量があります。
身長の伸びに伴ない体重が増加。減量に悩まされていました。
1日の食事は干し芋を味が無くなるまで噛むだけ。そんな日々が続きました。
そして、ある日。
訓練に臨もうと、部屋を出た瞬間、目の前が白黒になりそのまま意識を失いました。
目を覚ました時には病室。周りには関係者と医者。何があったのか、理解できませんでした。
「もうこれ以上は続けさせられない。」医者も関係者も全員が口を揃えたように
僕に言ってきましたが、僕には受け入れられませんでした。
『全てを捨ててここに来た。このくらいで終われない。』
何とか続けさせてくれ、と言い続けました。
「私が話をします。」
僕が一番お世話になった教官。僕と教官の2人だけの病室で彼は言いました。
「お前には才能がないから諦めなさい。」
何を言っているのか理解できませんでした。
「この世界は身長も才能だ。だから、お前には才能がない。」
涙が止まりませんでした。
本当の価値を提供するために
社長、その組織にとってなにが最良か。
今までの自分であれば、流していたのかもしれない。
嫌われることが嫌で、何も触れなかったかもしれない。
でも、本当に優しさは何かを考え続けてきた僕には、流すことができませんでした。
社長と同じぐらい、いや、社長以上に覚悟を持って取り組もう。
僕にとっては決して簡単ではない挑戦。
自らの頭をフル回転させ、成功させるために、本気で議論しました。
そんな僕の姿勢を認めていただいたのか、
提案にご了承いただき、共にチャレンジすることに。